「自助具を3Dプリンタで作る」ファブラボ品川×鹿児島の理学療法・作業療法イベントはこんな感じでした!

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さる7/13、NPO法人ケアリハそうぞうの研修会として行われた、
ファブラボ品川×鹿児島の理学療法士・作業療法士さんたちが3Dプリントを学ぶ会@ダイナミックラボ、無事に終了いたしました。

何を隠そうわたくし、3D設計を初めてもうすぐ2年経ちますけど、勉強になることが非常に多かった・・・!

というわけでそのイベントの内容をおすそ分け!

目次

FabOT(ファブオーティー)って知ってるかい?

「自助具を3Dプリンタで作る」ファブラボ品川×鹿児島の理学療法・作業療法イベントはこんな感じでした!
[ファブラボ品川の濱中さん。ちなみにOTではなく建築士です!]

今回は、ファブラボ品川さんが取り組んでいるFabOTの活動の共有、というのがイベントの主たる柱だったんだけど、その前にOTの説明をば。
(よく知ってるよ!という人は読み飛ばしてね!)

OT(Occupational Therapist)というのは作業療法士のことで、作業療法士協会によると以下の通り。

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。
作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

日本作業療法士協会 作業療法の定義より)

ただ、これだとなんだか範囲が広すぎるので、
今回のゲスト、ファブラボ品川ディレクターの林園子さんによる作業療法の意味とは、

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「からだ」や「こころ」に傷や障害をもち、生きる上で様々な「むずかしさ」を抱えている、あるいは抱えそうな人々

その人にとって「意義のある作業活動」に「チャレンジする気持ちづくり」や「環境づくり」を本人や社会とともに行う

その関わりにより、その人々が「自ら学びながら、むずかしさを解決していく」ことを支える

ことだと今わたしは考えています。

ファブラボ品川「「作業療法」とファブリケーション」より

とのこと。

テンダー的に解釈すると

人が生きるうえで直面する難しいけどやりたいことに、本人が取り組んでみようと思える環境を整えること、そしてそのやり方をなめらかにサポートすること

なのかな、と思いました(想像)。

そして、そのサポートのために、3Dプリンターなどのデジタルファブリケーション機器を使う、というのがFabOTの取り組みのようです。


ちなみに昨今では「PTOT」と、もうひとつの職業もまとめて呼ばれることが多く、PT(Physical Therapist)というのは理学療法士のこと。

**理学療法**とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

理学療法の直接的な目的は運動機能の回復にありますが、日常生活動作(ADL)の改善を図り、最終的にはQOL(生活の質)の向上をめざします。病気、けが、高齢など何らかの原因で寝返る、起き上がる、座る、立ち上がる、歩くなどの動作が不自由になると、ひとりでトイレに行けなくなる、着替えができなくなる、食事が摂れなくなる、外出ができなくなるなどの不便が生じます。

誰しもこれらの動作をひとの手を借りず、行いたいと思うことは自然なことであり、日常生活動作の改善はQOL向上の大切な要素になります。理学療法では病気、障害があっても住み慣れた街で、自分らしく暮らしたいというひとりひとりの思いを大切にします。

公益社団法人 日本理学療法士協会より)

そして今回の参加者さんはPTの方が多かった様子!

イベント前半。ファブラボ品川、取り組みの紹介

「自助具を3Dプリンタで作る」ファブラボ品川×鹿児島の理学療法・作業療法イベントはこんな感じでした!

始まる前からみんな夢中。

ファブラボ品川では、すでに作業療法のためにたくさんのオリジナル自助具(やりたい動作に困難を覚える人が、その困難さを減らすための道具)をたくさん作っていて、イベントが始まる前からそれらをずらっと並べて紹介してくださいました。

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ちなみに、今回の参加者さんらの一部はすでに私の3D設計WS(Fusion360)を受けていたものの、その時とは全く違う反応で皆さんテンションうなぎのぼり。
その時も盛り上がってはいたんだけど、多分、

「3Dプリントで作りたいものが作れる」 
 ↓
んで、何作ればいいの?

となっていたもよう。

ところが実物を目前にすると
「3Dプリントで作りたいものが作れる」 
 ↓
「実際(現実)にはすでにこうやって運用されている」
というのが頭の中でつながるらしく、

専門職の人に向けた入り口をちゃんと用意する、ってのは大事なことなんだなぁ、と大変勉強になりました。うむ。

そんなこんなでみんなの期待が高まる中、午前の部スタート。

ファブとは何か? ラピッドプロトタイピングとは何か?

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一般的なファブの説明をしつつ、ファブラボ品川のヴィジョンも交え、サクサク説明が進みます。
(ダイナミックラボはファブラボなので、ファブラボの説明ははしょりますぜ。)

じゃあやってみよう! アイデアスケッチを体験する

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その後、岐阜のIAMAS(情報科学芸術大学院大学)で開発されたアイデアスケッチの技法を使い、それぞれが今必要なもの・もしくは困っていることを解決するために必要なものを書き留めます。

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めっちゃみんな考えてる・・・!

ちなみにわたくし、しょっちゅう考えて物を作ってるので、こういう作業はかなり得意だと思ってたのだけど、きちんと考えて設計されたアイデアスケッチの技法は目から鱗で「チームで何かを作る」ためにはとっても重要な技法だと感銘を受けました。おすすめ。

その後、みんなのアイデアを前に張り出して、発表というか、アイデアの説明。

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そして、皆さん日頃から「あの人のためにこれが作れたら!」とか「こういう道具があれば、あの人はあんなことができるのに」と多分ずっと考えているっぽくて、割合スラスラアイデアが出てきていた様子。誰かのために何かを作る、というのはこれからファブラボが深める必要のあるテーマでしょうな。

その後、休憩を挟んでThingiveseの説明。

君はThingiverseを知っているか?

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Thingiverseとは、数万点の3Dデータを無料でも(おひねりもできる)ダウンロードできる3Dデータのクックパッド的なウェブサイト。

そこで、「Assistive」で検索すると、出るわ出るわたくさんの自助具。

すると・・・なんと
PTOTさんたち大盛り上がり。

わたくしさっぱりわからん。「スプリントってなんですか?」ってPTの参加者さんに聞いたもん。
(たぶん固定具のこと)

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[こんな感じで、Thingiverseには大量のデータがある!]

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ウェブに夢中。現代っ子か!

そしてファブラボ品川の濱中さんよりまさかの一言。

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「欲しいの言ってもらえれば全部3Dプリントしますので、皆さんひとつずつ何か持って帰ってください」

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というわけで、以前ダイナミックラボのお客さんから「動かない」という理由でもらった、3万円の3DプリンタPRUSA i3。
ここ数日、わたくしテンダーがコツコツ直して今日が晴れ舞台ですよ。
(実際はただのグリス切れでした)

遠景に今回の主催、NPOケアリハそうぞう代表の有村さんが微笑んでいます。

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というわけでストローホルダーがサクッとプリント完了。ウレタン素材を使い、手に優しい仕上がりです。
至誠舎代表の永原さんも、いたく感銘を受けた様子。

各々が「今日はど偉いことになりそうだぞ・・・!」という想いを胸に、お昼休憩へ。

午後、生まれて初めての3Dスキャン

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お腹を満たしたメンメンに、次に伝授されたのは3Dスキャンアプリ「Qlone

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Qloneを使えば、身の回りのいろんなものを3Dデータ化することができ、さらには3Dプリンタを持っていればそのままプリントすることができる、という優れもの。

もうね、あっちもこっちも3Dスキャン大会ですよ。

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そして、その後は紙粘土を使って人体の型を取り、その型をQloneでスキャンするという合わせ技へ。

みんなは黙々と作業し、いつしか

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紙粘土遊び大会へと変わっていったのでした・・・!

生まれて初めての3D設計、TinkerCAD

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そしていよいよ最後のレッスン。
デジタル積み木ソフト、TinkerCADの使い方解説。

TinkerCADはユーザー登録をすれば完全無料で使える3D設計入門ソフト。
入門ではあるものの、自助具を作るには十分すぎるほどの機能を備えているのです。

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操作も簡単。画面右から好きな図形をポコポコ作業エリアに投げ込んで、くっつけたりくり抜いたりするだけ。

ここで、先ほどQloneでスキャンした人体の型を取り込んだり、それに違う図形を合成したり、そりゃもう簡単にいろんなことができるわけです。

ちなみに講師の林さんの、このステキな蝶ネクタイチョーカーも、

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実はTinkerCADで設計した3Dプリント品なのでした。
平面の板をプリントして、ヒートガンであぶって、曲げて作るらしい。

おしゃれ!

というわけで、しばしのモデリング自由時間を経て、

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なんとアイデアスケッチにまとめていたアイデアを早速作り初めて、ほぼ完成しちゃう人たちもちらほら。
すごい!

「自助具を3Dプリンタで作る」ファブラボ品川×鹿児島の理学療法・作業療法イベントはこんな感じでした!

いやー、10:00-18:00の長丁場だったものの、皆さんに大変喜んでいただいたようで何よりです。

何よりも、実際に現場で日々格闘しているPTOTの皆さんが、新しい視点と技術を得てエンパワーメントされていく様子に胸が熱くなったというか、ファブラボってこういうことなんだろうなぁ、と思う時間でした。

というわけでFabOTの取り組みは、継続的に鹿児島でも取り組んでいこうと思っています。

ではまた!

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この記事を書いた人

考えて、作り、実践して、伝える作業を繰り返しています。 版元を作り出版した著書「わがや電力」は直販にて15000部を売上げ。 先住民技術、NVCとシステム思考、環境再生技術の知恵を使い、生態系を模倣する文明を研究中。鹿児島の廃保育園にて環境問題を解決するための工房・ダイナミックラボを運営

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