クラッシュコース Crash Course / 第2章「3つのE」

これはクリス・マーテンソンさんの講義「Crash Course(2014年版)」を安納献さんが翻訳したものです。

※ 経緯はこちら [クラッシュコース日本語訳を、安納献さんの翻訳で公開&アーカイブします]
※ 本文内の太字は、編集・校正をしたテンダーによる可読性を上げるためのもの


クラッシュコース 第二章「3つのE」

さて、私が「大きな変化が私たちに迫っている」と言うとき、これは何を意味しているのでしょう?

ここで、私たちは「3つのE」に飛び込む必要があります。そして、このクラッシュコースの残りの時間はこの3つのEに費やすことになります。


1つめのE 経済(Economy)

最初のEは経済(Economy)です。クラッシュコースでは、すべてをこの経済の視点から見ています。

私たちが経済に関心を持つのは、経済の働きによって技術的に起こってほしいことが全て起きるからです。私たちの仕事や希望、夢が機能している経済に依存しています。

機能している経済があれば、どんな困難にも対処できます。

しかし、機能しない経済では多くのことが不可能であり、私たち全員のレジリエンス(回復力)が低下します。


経済の中には、4つの主要な懸念事項があります。

  • 指数関数的な貨幣供給の増加
  • 世界的な信用暴落による史上初の破綻
  • 高齢化する人口
  • そして貯蓄の国家的失敗

です。

これらのそれぞれが何を意味するのかがはっきりしない場合でも心配しないでください。後で詳しく説明します。


2つめのE エネルギー(Energy)

次のEはエネルギー(Energy)で、「ピーク・チープ・オイル(安価な石油のピーク)」が経済システムにとって何を意味するのかを議論します。

世界経済が豊富で安価なエネルギー供給にどれほど依存しているかを理解することが非常に重要です。

実際、このトピックは非常に重要なので、クラッシュコース全体をこれに捧げるべきですが、時間がありません。


3つめのE 環境(Environment)

最後に、3つめのEである環境(Environment)は、資源の減少によって経済的負担を強いることになります。

資源の希少性は、私たちのライフスタイルを支えるために自然界から取ることができるものを減少させ、環境の崩壊の閾値は、自然界に戻すことができる廃棄物の流れにますます明白な限界を設けます。


私がこれからあなたに語る物語は、これら3つのEすべてを横断し、私たちの経済システムが現実と大きくかけ離れていることと、その結果として深刻な不安定性や崩壊の可能性があることを主張します

これらの問題や状況が、このレベルで直面されたことは歴史上、一度もないと言えます。
あなたの国の歴史でも、人類の歴史でさえも、少なくともこれほどの世界的規模では。

これが恐ろしいと感じるか、興奮を覚えるかは、あなたの心構え次第です。

これを、世界の終わりのシナリオと見ることもできますし、私たちの世代と将来の世代のために世界をより良くするための一生に一度の行動の呼びかけと見ることもできます。

選択はあなた次第ですが、最善の選択をするための鍵は、正確で詳細な情報を持つことです。
文脈がすべてです。


これがクラッシュコースで提供するものです。

各Eのサブエリアをそれぞれ個別に見ると、そのそれぞれがあなたの全ての注意力を使い尽くすほどです。
私は「これらの問題は非常に絡み合っているため、個別に解決することはできない」という主張をします。

代わりに、3つのEすべてを同時に考慮する必要があります。これらをすべて結びつける非常に強力な数学の法則を理解する必要があります。

どうぞ指数関数的成長にお付き合いください。

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目次

クラッシュコース 全容

– なぜ、クラッシュコースを日本語に翻訳して公開しようと思ったか?

はじめに
第1章 – 3つの信念
第2章 – 3つE
第3章 – 指数関数的成長
第4章 – 複利が問題
第5章 – 成長 vs 繁栄
第6章 – お金とは何か?
第7章 – お金の創造:銀行
第8章 – お金の創造:連邦準備銀行
第9章 – アメリカのお金の短い歴史
第10章 – 量的緩和 (QE)
第11章 – インフレ
第12章 – 1兆ドルってどれくらい?
第13章 – 借金
第14章 – 資産と負債
第15章 – 人口動態
第16章 – 貯蓄と投資の国家的な失敗
第17章 – 資産バブルを理解する
第18章 – 曖昧な数字
第19章 – エネルギー経済
第20章 – 安いオイルのピーク
第21章 – シェールオイル
第22章 – エネルギーと経済
第23章 – 環境 – 枯渇する資源
第24章 – 環境 – 増加する廃棄物
第25章 – 未来の衝撃
第26章 – 私は何をすべきか?

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この記事を書いた人

考えて、作り、実践して、伝える作業を繰り返しています。 版元を作り出版した著書「わがや電力」は直販にて15000部を売上げ。 先住民技術、NVCとシステム思考、環境再生技術の知恵を使い、生態系を模倣する文明を研究中。鹿児島の廃保育園にて環境問題を解決するための工房・ダイナミックラボを運営

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