クラッシュコース / Crash Course日本語訳を、安納献さんの翻訳で公開&アーカイブします / はじめに(Introduction)

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経済と地球の有限性とシステムについての解説講義「クラッシュコース」

ご無沙汰してます。テンダーです。

私が10年以上前に友人の安納献さんの紹介で読み、大変影響を受けた「クラッシュコース」というウェブ上で公開された講義があります。

これはエネルギーと資源の枯渇を専門とする経済研究者・未来学者であるクリス・マーテンソンさんがまとめたもので、システムとして変化する世界経済の不安定さと地球の有限性などについてを網羅的に語り、2008年版と2014年版があります。

クラッシュコース / Crash Course というタイトルは、
「短期集中講座」という意味(一夜漬けとか、無理くり詰め込む、とかそんなニュアンス)と、
「破綻への道」という2つの意味が掛かっています

当時は渡辺遼遠さんという方が訳してくださったもの(おそらく2008年版)を繰り返し読んでいたのですが、そのウェブサイトが閉鎖となり、このたび安納献さんと話をして、じゃあせっかくだからみんなが読めるように2014年版を翻訳し直して公開しよう、となりました。


その理由は、私がこれを読んだのは10年以上前なのに、10年経って多くの人がこの内容を知り考えを深めたか、というとそんなことはなさそうだ、と思うからです。

むしろ、刹那的かつ表面的な刺激を欲する風潮や、権力者の旗振りへの盲目的な追従はより増して、その結果、法や制度をハックすることばかりに夢中になり、本質を自分の思考を通して理解しようと試みる態度が社会からひどく減ったように思うのです。

それは人々の個人的な問題ではなく、力を持つものたちの為そうとする基本的な社会デザイン、それに伴うインターネットやSNSの加速機構によるところが大きいと私は思いますが、何にせよ、今一度止まって、

完全に一度立ち止まって、2014年に出されたこの警鐘を、じっくり読んでみませんか?

なぜなら、経済の仕組みや幻想、地球の有限性やシステムを知らないままに、以後数十年の自分および近しい人々の行く先を決めることはできない、と私は思うからです。


クラッシュコース「はじめに」

クラッシュコース 「はじめに」

このたびの最新版クラッシュコースへようこそ。

これからご覧いただく内容は、世界中の数百万人ものあなたのような人が、経済や将来の繁栄に対する極めて深刻な課題を理解するのに役立ち、その深刻な課題に対する無防備さを減らす具体的な行動のガイドとなるでしょう。


こんにちは、私の名前はクリス・マーティンソンです。このクラッシュコースシリーズを開発し、次世代にふさわしい世界を創造するお手伝いをしたいと考えています。
それが私たちピーク・プロスペリティのミッションです。

クラッシュコースは、10年以上にわたる集中的な調査と事実確認を経て、経済、エネルギー、環境を一つに織り交ぜています。これらの分野が重なり合うところに、今までの中で最も大きな物語が語られるからです。

2008年に最初のバージョンを発表した際には、そこで忠告した多くの出来事がその後すぐに起こったため、すぐに人気を博しました。

世界経済は停滞し、グローバル規模での大恐慌が懸念されました。
原油価格はバレルあたり150ドルに迫り、生活費の高騰は北アフリカや中東での革命を引き起こしました。
その途中、福島やディープウォーター・ホライゾンの危機は私たちのエネルギーシステムの脆弱性を露呈しました。

そして2014年現在、私たちはこれらの問題の余波に対処し続けており、残念ながらその根本的な原因には依然として十分な対処がなされていません

しかし、あなたのような賢明で独立心のある人々は、この物語が示す大局に目覚めつつあります。
このプレゼンテーションの終了時には、世界を全く新しい方法で理解し、考えるようになるでしょう。
新たなリスクと新たな機会の両方を見ることになるでしょう。

警告しておきますが、この内容は一部の方にとって容易ではないかもしれません。
それがわかるのは私が、これまで数万人の観客にこの内容を発表してきた中で、その反応を見てきたからです。

非常に大きな変化について話すことになりますが、これらを理解するのは確かに難しいことです。
否定から怒り、不安に至るまでの感情反応はすべて当たり前のことです。
ですので、このシリーズを視聴中にこれらの感情を経験した場合でも–大丈夫です。
誰だってそうですから。

しかし、はっきりさせておきたいのは、クラッシュコースの目的はあなたを怖がらせることではありません

私たちの立場は単純です。
すべての人がより安全で豊かな生活を送ることができるようにすることを目指しています。

そのために、私はあなたの視点を広げようとしています。
あなたの最も大切にしている信念に挑戦するかもしれません。

そして、あなたが自分自身を教育し、計画を立て、行動を起こすための時間がほとんど残っていないことを納得させたいのです。

再度申し上げますが、クラッシュコースの目的は、情報に基づいた決定と積極的な選択をすることで、現在の幸福と将来の安全に大きな違いをもたらすことができるようにすることです。

私はこれを自分の生活においても実践し、多くの人々が同じことをするのを手助けしてきました。
待つ時代は終わりました。


あなたがここでこれを見ているのは、何かが変わり、何かがうまくいっていないことを既に知っているからです。
そして、新しい未来が目の前にあり、今こそ行動を起こす時なのです。

それでは始めましょう。

次の章3つの信念にご参加ください。ありがとうございます。

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クラッシュコース 全容

– なぜ、クラッシュコースを日本語に翻訳して公開しようと思ったか?

はじめに
第1章 – 3つの信念
第2章 – 3つE
第3章 – 指数関数的成長
第4章 – 複利が問題
第5章 – 成長 vs 繁栄
第6章 – お金とは何か?
第7章 – お金の創造:銀行
第8章 – お金の創造:連邦準備銀行
第9章 – アメリカのお金の短い歴史
第10章 – 量的緩和 (QE)
第11章 – インフレ
第12章 – 1兆ドルってどれくらい?
第13章 – 借金
第14章 – 資産と負債
第15章 – 人口動態
第16章 – 貯蓄と投資の国家的な失敗
第17章 – 資産バブルを理解する
第18章 – 曖昧な数字
第19章 – エネルギー経済
第20章 – 安いオイルのピーク
第21章 – シェールオイル
第22章 – エネルギーと経済
第23章 – 環境 – 枯渇する資源
第24章 – 環境 – 増加する廃棄物
第25章 – 未来の衝撃
第26章 – 私は何をすべきか?

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この記事を書いた人

考えて、作り、実践して、伝える作業を繰り返しています。 版元を作り出版した著書「わがや電力」は直販にて15000部を売上げ。 先住民技術、NVCとシステム思考、環境再生技術の知恵を使い、生態系を模倣する文明を研究中。鹿児島の廃保育園にて環境問題を解決するための工房・ダイナミックラボを運営

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