ダイナミックラボ、移転しました。

大変ご無沙汰しております。ダイナミックラボのテンダーです。

はてさて、Webサイトのトップバーにはずっと表示していましたが、ダイナミックラボは移転しました。

南さつま市から日置市に移転し、それに伴い今後はセミクローズドのテンダー個人研究所として運営を続けます。今回はその経緯をお知らせします。

目次

1. 移転の主たる理由:テンダー家が引っ越した

やむにやまれぬ事情で引っ越すことになり、ご縁がありお隣の日置市に移ることになりました。

そして、ダイラボが借りていた旧大坂小学校は南さつま市の所有する財産であり、それを借りるためには代表者の南さつま市内の住所が必要だったのです。

引っ越すことで旧大坂小を継続して借りられるなくなるとのことでしたが、総合的に考えた結果、退去することを選びました。

小学校一件分の引っ越しはめちゃくちゃ大変でした…!

2022年3月に引っ越しを決め、2022年度の丸一年は引っ越し作業に充てることを行政とも協議&了解を得ました。

同年7月に新ラボ物件が日置市内に見つかり、建物の傷んでいるところを直したり、敷地内に車が入れるように門扉を壊したり、物件内の荷物を整理したりしつつ、引っ越し作業が始まったのは実質同年9月くらいから、ラストスパートは年が明けた2023年1月頃からでした。

2022年4月からは自宅の引っ越しも重なって、まあーーーー本当に大変な1年間だったのですけど、それよりも何よりも、よくこの6年間でこれだけ貯め込んだなという廃材と機材の量、山の如し。

鉄屑を地金屋さんに持ってた量も軽トラで往復すること2〜3トン分、

最終的には機材も随分手放しました。

おそらく一般家庭の5〜6件分くらいの物量を軽トラとハイエースでひたすら輸送・・・。

3月末には、軽いものも持てないくらい疲弊する有様で、
いやはや、お手伝いいただいた皆様、本当にありがとうございました!

2023年3月31日には、行政の方から「貸す前より綺麗にしていただきました」とコメントもらいました。

円満退去!

2. ファブラボ開放をやめる理由

これはひとえに「思ってたのと日本のファブラボの実際が違ったから(ファブラボを続けても自分の思い描く問題解決はできないから)」です。

この6年間を通して私が学んだのは、来た人全員ではありませんが、現代の教育を受けた人々の多くは「ファンタジーに立脚した物理観」を持っていて、基礎的な手加工の技量や、材料に対する知識はあまりに拙く、かつ危険性を重視しない、ということでした。

具体的には、多くの人が、自分が作るもののおよその強度がわからない、自分の使う材料の強度や性質がわからない。

その結果、「その材料じゃそれは支えられませんよ」というようなものを作ってすぐ壊れたり、その使い方をすると毒がばら撒かれてしまいますよ、ということをしてしまうのですが、私が見る限り、皆さんあまり気にしないんですね。

「このサポートを何十年続けても、私のやりたいこと(=各々が自分の責任において、自分の人生を生きるために消費者を脱すること)にはおそらくつながらない」という感想を持ったのが率直なところです。

それは一言で言えば、ファブラボ以前の問題が大きすぎる、要は「ファブラボ以前の、伝承(教育)の問題」という話です。
(さらにその前段には、物質的豊かさにより人生が余暇化していく現代というものの、構造的な問題があるとも思います=成長の限界)

このあたりの話はまた、改めて書くこともあるかもしれません。長大になるので今回は割愛。

(もちろん、ファブラボ品川のように素晴らしい取り組みをされているファブラボもあります。念の為)

3. 教育分野への取り組み

国際文化フォーラム(TJF)という財団と、中高生(と大人)向けのオンライン講座を2年半にわたり開催しました

これは、単発の講座ではなく2ヶ月に一回、正味5時間くらいの講座を2年半かけて全14回やる、という大きな取り組みをしました。

公益財団法人国際文化フォーラム
テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座、はじまるよ! | お知らせ | 公益財団法人国際文化... テンダーさんからのメッセージ みんなは、学校を卒業したり辞めたりしたあとは、どうする予定だろうか。高校や大学や海外留学や、要は他の学校に行くのだろうか。 今か遠い...

最終回は、「各人が過去回から選んだ題材を、1ヶ月暮らしに落とし込んでやりきる」というお題で、DiscordというSNSで日々の実践報告をしながら「習うのをやめる」を実践する、という実験的な最終回となりました。

その結果わかったことは「ここまでやれば伝承される」、逆に言えば「ここまでやらなければ伝承されない」ということです。

講師がいる限り、生徒は自ら責任を引き受けにはいきません。

ファブラボという業態自体が、来訪者の責任を軽くし、相手を「いちユーザー」に留めてしまうのだと思います。

それは、私がやろうとしていたことではないので、ファブラボの形態を一度やめることにしました。

また、教育分野に取り組んだことで、日本の公教育の問題点などにも考えが及び、
今後の事業は「ファブラボの設備とオープンソースの仕組みを以って、教材を作る・教育プログラムを作る」などに移っていくと思います。

4. オンライン講座のために色々なものを作った

火熾ストーブ

公益財団法人国際文化フォーラム
09「鉄工を身につけて強力なストーブを作ろう」 - 連続講座[その辺のもので生きる] | お知らせ | 公益財... (※ このオンライン講座の趣旨はコチラをご覧ください。) 2022.6/5 テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座 第9回 「鉄工を身につけて強力なストーブを...

熱力学の観点からロケットストーブを設計し直し、飛躍的に効率を高めた木質燃料ストーブを製作した講座。
500ccの水を2分で沸騰させ、4合の米を13分で炊ける!

オープンソース・パラボラクッカー

公益財団法人国際文化フォーラム
10「きみのためのエネルギー。 実用パラボラソーラークッカーを作って太陽熱で調理する」 - 連続講座[その... (※ このオンライン講座の趣旨はコチラをご覧ください。) 2022.8/21 テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座 第10回 「きみのためのエネルギー。 実用パ...

30万円近くする大サイズのパラボラ式ソーラークッカーを、オープンソースで5000円で作り、共有した講座。

折り紙コヤッシー

公益財団法人国際文化フォーラム
12「生き物の輪に戻るためにドライトイレを作ろう」 - 連続講座[その辺のもので生きる] | お知らせ | 公... (※ このオンライン講座の趣旨はコチラをご覧ください。) 2022.12/25 テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座 第12回 「ドライトイレを作る」 でするこ...

2ドルで作れるドライトイレ!
これは意匠登録しました。

ただいま、より問題解決型のV2を製作中!

そのほか、たくさんのワークショップなど

脳科学、システム思考、などなど。

残りの時間を何に使うか?

こうやってたくさんモノや講座を作ってみて思ったのは「ファブラボでお客さんの応対している時間で、私はもっと世界の人のために色々できるな」ということでした。

また、国内にオープンソースを発表してもフリーライダーが小銭を稼ぐ、みたいな帰結にしかならないことがあまりに多いので、今後は国外に発表していくつもりです。

というわけで、今後とも面白がって見てもらえれば幸いです。

ではでは。

テンダー

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この記事を書いた人

考えて、作り、実践して、伝える作業を繰り返しています。 版元を作り出版した著書「わがや電力」は直販にて14000部を売上げ。 先住民技術、NVCとシステム思考、オープンソースハードウェアの知恵を使い、生態系を模倣する文明を研究中。鹿児島の廃保育園にて環境問題を解決するための工房・ダイナミックラボを運営

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