これはクリス・マーテンソンさんの講義「Crash Course(2014年版)」を安納献さんが翻訳したものです。
※ 経緯はこちら [クラッシュコース日本語訳を、安納献さんの翻訳で公開&アーカイブします]
※ 本文内の太字は、編集・校正をしたテンダーによる可読性を上げるためのもの
クラッシュコースでは、しばしば「兆」という数字に出くわすことがあります。
兆とはどれくらいの量でしょうか?
実は、私自身もよくわかっていません。
兆は非常に非常に大きな数字であり、その概念を理解するために数分間考える価値があると思います。
まずは数字の確認から始めましょう。
- 千は、1の後にゼロが3つ続く数字です。
- 百万は、その千倍の大きさで、1の後にゼロが6つ続く数字です。
このレベルでは、まだこれら2つの数字の違いを理解できます。
銀行に百万ドルがあることは、千ドルがあることとは全く異なる概念です。これは理解できます。
次に、
- 10億は百万の千倍で、1の後にゼロが9つ続く数字です。
そして、
- 1兆はその千倍で、1の後にゼロが12個続く数字です。
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つまり、
- 1兆は千の十億倍であり、百万の百万倍ということです。
これがどういう意味かわかりますか?
私は正直に言ってわかりません!
自分はそれをイメージすることができないので、別のアプローチを取りましょう。
例えば、千ドル札を一枚渡して、それを友人と一晩で使い切るように言ったとします。
楽しい時間を過ごせるでしょう。
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次に、4インチ(約10センチ)の高さの千ドル札の束を持っていたとします。
もしそうならば、おめでとうございます、あなたは百万長者です。
では、超富裕層に仲間入りして10億ドルを持つには、どれくらいの高さの千ドル札の束が必要でしょうか?
その答えは、高さ358フィート(約109メートル)の束です。
これは自由の女神像より50フィート(約15メートル)高い。
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では、1兆ドルに相当する千ドル札の束はどれくらいの高さになるでしょうか?
答えを考えてみてください。
その束は、67.9マイル(約109キロメートル)の高さになります。
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これは、千ドル札を並べたものではなく、しっかりと積み重ねた高さです。
これが1兆ドルです。
それでもイメージがつかめないですか?
では、車で道路を走っているときに、道路脇に千ドル札の連なりがずっと並んでいると想像してください。
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1時間以上運転している間、その連なりは道路の端にずっと並んでいます。
別の言い方をすると、
過去1年間にアメリカの経済システムで作られたお金が千ドル札として印刷され、それが道路の端に並べられると、マンハッタンの中心からニュージャージー州トレントンまで続くことになります。
(校正者注 日本の関東でいうと、日本橋から御殿場くらいの距離)
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そういうわけです。
連なりを視覚化するために、運転しながら横に並んでいるのを見るか、その上に立って見るか、好きな方法で表現しても構いません。
しかし、誤解しないでください。兆は非常に非常に大きな数字であり、その大きさを本当に理解するのが難しいからといって、安心してはいけません。
むしろ、今の貨幣供給が1兆ドルではなく12兆ドルに達していることを非常に心配すべきです。
アメリカの累積借金と負債総額はそれよりもはるかに多い。
私たちは、リーダーたちがその影響を真に理解できない規模で意思決定を行っている時代に生きています。
多くの政治家は、このビデオを見ている人々よりも数学、経済学、またはビジネスに関する専門知識が少ないのです。
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次の1兆ドルの救済策に投票し、借金限度をさらに1兆ドル引き上げ、連邦準備銀行にさらに1兆ドルの刺激策を求めるとき、彼らはその影響を本当に理解していません。
誰も理解できません。
私たちは、脳神経の理解を超えた領域で物事を進めている段階に達しています。
その結果、現在の政策には意図しない結果が確実に生じるため、それに備える必要があります。
そして、兆の概念を理解するのが難しいと思うなら、少し日本に目を向けてみましょう。
2013年8月、日本の国債は初めて1京円を超えました。
京とはどれくらいの量でしょうか?
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これまで例として使っていた千ドル札を千円札に置き換えて計算すると、その積み重ねは地球をほぼ3周することになります(*)
*校正者注
この計算は間違っています。
「1万円札の束を1京円分積み重ねると、およそ地球2.5周分の長さになる」が正しい情報です。
※ 地球一周はおよそ4万km、そして日本銀行のウェブサイトによると、「現在発行されている銀行券の厚さは、1,000枚で約10センチメートル」とのことなので、千円札が1000枚=100万円で10cm、1京円はその10,000,000,000倍(100億倍)なので、1,000,000km分の厚み、つまり千円札を積み重ねると地球25周分相当、となります。
1万円札の場合は1000枚=1000万円で10cm、1京円はその1,000,000,000倍(10億倍)なので、100,000km分の厚み、つまり地球2.5周分相当、となります。
さて、次の章に進みましょう。頭が痛くなりますね。
次の章、非常に重要な「借金」についてぜひ参加してください。
ご清聴ありがとうございました。
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クラッシュコース 全容
– なぜ、クラッシュコースを日本語に翻訳して公開しようと思ったか?
はじめに
第1章 – 3つの信念
第2章 – 3つのE
第3章 – 指数関数的成長
第4章 – 複利が問題
第5章 – 成長 vs 繁栄
第6章 – お金とは何か?
第7章 – お金の創造:銀行
第8章 – お金の創造:連邦準備銀行
第9章 – アメリカのお金の短い歴史
第10章 – 量的緩和 (QE)
第11章 – インフレ
第12章 – 1兆ドルってどれくらい?
第13章 – 借金
第14章 – 資産と負債
第15章 – 人口動態
第16章 – 貯蓄と投資の国家的な失敗
第17章 – 資産バブルを理解する
第18章 – 曖昧な数字
第19章 – エネルギー経済
第20章 – ピーク・チープ・オイル(安価な石油のピーク)
第21章 – シェールオイル
第22章 – エネルギーと経済
第23章 – 環境 – 枯渇する資源
第24章 – 環境 – 増加する廃棄物
第25章 – 未来の衝撃
第26章 – 私は何をすべきか?
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