ダイナミックラボ始まって以来の大プロジェクトとなった Precious Plastic Japan。中でも廃プラ破砕機を日本仕様に作り直したテンダー作の Prcious Plastic shredder for 100Vのバージョン2(=V2)が先日完成しました!
※この記事の下部からBOM(全部品表)と、FUSION360用の3Dデータをダウンロードできますので、これまでの変遷と変更点の細部、それから抱腹絶倒のストーリーテリングに興味のない方は一気にページ下部へどうぞ。ちなみにこの 道具 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供します。気にしてね!
目次
V1からの改良点
- 六角軸を諸般の事情で太くした。対辺35mmに。
- それに伴いベアリングもUCFL206に変更
- 六角軸の両端を右ねじと左ねじに仕様変更。旋盤を覚えて自分で切ってます!
- シーブ周りの固定方法を変更
- ライナーをレーザーカットPPに変更。
- 電源は家庭用100Vのまま、三相200Vの1.5kWモーターで運用することに成功!
- モーターが倍大きくなったことで、破砕スピードが倍に。V1よりもサクサク破砕できます。
- その他、細かいところをたくさん!
shredder for 100V、要点の解説
六角軸の最適化 → 対辺35mmに大幅増強
…いやそれ頼むくらいなら金属旋盤買えちゃうわ! という値段を提示され、
チャックで六角棒をくわえる 自動送りで荒削り 最後に0.1mmくらいで精度出し
(今回はこれで十分)
できた! ムシャクシャしてやりました!!
初めてでも、半日×2日で無事に3本完成。次やれば一本当たり1時間半で仕上げられるかも。
(これを一本13万円の見積もりってなんなんだ・・・。ちなみに材料は一本1000〜2000円ほど)
写真をよく見るとわかるかもしれないけど、六角両側のねじが右ねじと左ねじで回転方向に対して緩み止め機能を付与。
これは旋盤のねじ切り機能で作ったのではなく(さすがに初体験からそこまでを数時間で身につけるのは大変)、なんとググったらM35の右ネジ・左ネジのダイスが3500〜4500円でamazonで売ってました・・・!
誰が使うんだ! 俺か!
(ちなみに適合するダイスハンドルの方が高かった。なんでやねん!)
これを旋盤の心押し台で六角棒に押し付け(=誰がやっても極めて垂直になる)、旋盤のでかいチャックを手で回してネジ立てました。
アイデアの勝利!
(大急ぎで取り組んでいたので写真なし。残念!)
シーブ(粒度選別フルイ)を改良
家庭用の100V電源で三相200V・1.5kWモーターの運用を実証!
- 中古モーターの数が豊富。100Vの750Wギアモーターに比べればはるかに多いので探しやすい(ちなみに100Vで750Wよりも大きなモーターを探すのは至難の業。市場にほぼない)
- 同じ理由により、100Vのモーターよりも200V三相の方が、中古市場価格が安いことが多々。
- 正転逆転が容易。何かが挟まって動かなくなった場合に解除しやすい
- スピードコントロールが容易なので、低速で動かして観察し、問題の切り分けをしやすい
さらにこのインバーターFreqrol D700を使うことにより、
- 100V契約のほぼ全てのご家庭で200V三相モーターを使えるようになる
- JOG運転(一瞬だけ動かす)ができる
- 電流制御での自動遮断機能などが内蔵されている
- 設定で「7.5A流す」設定にしてしまえば実は1.5kWのモーターも使える・・・!
その他、細かいところ
0.2mmのライナーをPP製に変更、レーザーカットで作る
ローラーチェーンをNo.50に変更。
アイドリングプーラーの据え付けについて
おまけ:レバーシャーとドッキングできるようにした!
ダウンロード:BOMと3Dデータ、設定類
そして、みなさんお待ちかねのオープンソースデータは以下から。 今回初めてオープンソースハードウェアを全公開するのだけど、まあ、、、正直なところ、、、、これ一人でやるの、、、、、
苦行と酔狂の域ね!!!
このくらいの複雑さのものをチェックしながら、リストにまとめたり、わかりやすくリンク貼ったりって、なんというか、、、もう、、、つらい。 というわけで、抜けとか間違いとか多々あると思いますが、その時は私に言うのではなくて(言ってもらえたら助かりはするんだけど)、どうぞ各々で改訂版のV2.1を出していただきたい。 日本のオープンソースハードウェアを進めるのは、この記事を読んでいる君だ! (どかーん!)話は逸れるんだけど、私が2016年8月にprecious plastic に加わった時からもう今月でちょうど5年なのだけど、私の知る限り日本ではその間誰も、オープンソースとしてのローカル日本改良版を発表していない・・・矜持には矜持で返そうぜ!
(precious plasticにインスパイアされたと自称する樹脂製品メーカーで、関連する機器の特許を取った人はいたが = オープンソースの真逆!) オランダの元データやアイデア、情報の利用には喜んで乗っかるが、自分でオープンソース文化を作りあげていこうという意識が、日本では特に低いように私には見えます。そういうのをフリーライダーと言います。残念だ!
というわけで言い出しっぺから公開します。ムシャクシャしてやりました…!
BOM(全部品表)はこちら!
・BOM google spread sheet ・モーター選定表(テンダー個人用途) google spread sheet ・六角軸の図面はこちら PDF3Dデータ(FUSION360)はこちら!
・Shredder for 100V – V2 https://a360.co/3rDzGNOレーザーカットデータ一式はこちら(DXF)!
鉄板をカットする数量や、厚みの指定のPDFも入っています。それとlinerというフォルダは、クリアファイルをカットするデータなので、鉄工所に出しても「?」となるので出さないように!インバーターのマニュアルについて(重要!)
まず、このインバーターにはなぜかマニュアルが複数あり、・カタログ(カタログとは名ばかりでカラーでほどほど詳しい。便利)
・基礎編(製品に元から付属する説明書)
・応用編(とても詳しい。最終的にはこれを読む必要がある)
・シリアル通信編(PCと接続する場合。ただし専用ソフトには高価なIDが必要っぽい)
などあるようです。 ・カタログPDF http://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/inv/l06056/l06056m.pdf ・基礎編と応用編PDF https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/faspec/download.do?kisyu=/inv&formNm=FR-D710W&category=ex&id=spec 最初はよくわからなかったのだけど、製品に付属する説明書だけでは、それぞれのパラメータとその値についての解説が載っていないので、まず理解できません! よって、カタログか応用編のPDFが必要になります。要チェック!
インバーターのパラメーター設定例
テンダー設定のインバーターパラメータリストがこちら。 勘所は、Pr.9の「電子サーマル」を「7.5(A)」にすれば1500Wモーターが使えるのと、Pr96.で「汎用磁束ベクトル制御」にしてからの「オートチューニング」で、低速時のトルクが上がるみたい。(これをやらないと Over current でよく停止する) ただ、インバーターに関してはモーターとインバーターに詳しい人からのお知恵を待っています!
レッツジョイン・オープンソース! 一旦こんなところかな?
一度手放したいので、後は能登慣れ大和撫子!
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