コンポストトイレ・コヤッシー

生態系を育む。ヒトから窒素を回収する。「Koyassy(コヤッシー)灰エンドモデル」完成!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

この記事には糞便に関する話題と視覚素材が登場します。不快だと思う方は閲覧をおやめください。


ども。テンダーです。
まずはみんな、見てくれ僕のコヤッシー!


これは世界の水汚染を解決するために私が考案したもので、これまでの世界ではトイレ(コンポストトイレ)とされていたものです。


クリエイティブコモンズ・ライセンス

この 道具 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に公開・提供します。気にしてね!


目次 1. 説明しよう!Koyassy灰エンドモデルとは!
- これまでのコンポストトイレについて
- 水洗トイレについて
2. そもそも堆肥=コンポストとは? 橋本力男さんと発酵堆肥の世界
- コヤッシーは、窒素回収 → 堆肥発酵の二段構え
3. コヤッシーのラインナップは灰エンドモデルのみ
- ダイラボ独自の大腸菌培養実験で、灰の効用を検証
- 実際にコヤッシーの混合粉体を使って堆肥を作る
4. コンポストトイレとコヤッシーは攪拌が命
- コンポストと攪拌のジレンマ
- コヤッシーの攪拌は一期一会方式
5. コヤッシーの構造の説明
- ペール缶の蓄積部とトイレ機能部
- 3Dプリント製の攪拌&屎尿分離ユニット
6. コヤッシーの改良検討点
7. コヤッシーの世界観を補足するおまけ!
- おまけ1:野糞を超えていけ
- おまけ2:水洗トイレの問題
- おまけ3:ウジにどう向き合うか
8. コヤッシーのこれから

1. 説明しよう! Koyassy 灰エンドモデルとは!


Koyassy(コヤッシー)とは、人体から排出される栄養分を回収するための廉価な装置である。


これまでの世界では「トイレ」と呼ばれていた道具だが、ダイナミックラボでは窒素回収機というジャンルを新たに考案し、積極的に人体から窒素やその他有益な養分を回収するための道具「Koyassy」を製作するに至ったのである。


Koyassy(以下、コヤッシー)は主に、便座、3Dプリント製の屎尿(しにょう)分離&攪拌ユニット、ガソリンスタンド等で広く廃棄されている18Lペール缶2つと、尿を貯めるタンク部、の4パートで構成されている。

上から便座、し尿分離ユニット、ペール缶1、ペール缶2。(尿タンクは非表示)


コヤッシーは、コンポストトイレとよく似ているが、設計思想が大きく違う。

これまでのコンポストトイレについて

wikipediaより


これまでのコンポストトイレ(水洗ではなく、おがくずなどの乾燥物と屎尿を混ぜて処理するトイレ)は比較的高価であり、強力な熱源と攪拌用のモーターを備えた100万円以上するようなものも売られていた。近年になり10万円クラスのものも登場しはじめ、2万円前後で自作可能なオープンソースタイプのものも人気を博している。


特筆すべきは屎尿分離タイプ(糞便と尿を分けるもの)で、きちんと運用されればほとんど匂いを発生させず、かつ尿は3〜10倍に薄めればそのまま液肥として撒くことができるため、尿に関してはこれで解決に到達したと言っても良いだろう。


しかし根本的に、日本で広まっている現行のコンポストトイレは糞便をコンポスト(発酵堆肥化)しない。これは、そもそも糞便には発酵に必要な微生物資材が含まれず、炭素も空隙材料も足りず、また、発酵堆肥を作るためには最低でも100L以上の体積がないと発酵の維持が難しい(発酵熱が保たない)からである。


ゆえに、現行のコンポストトイレは「うんこを乾いたもので和えて、ある程度乾燥させて扱いやすくする」域を出ないのでは、と私は思うのであった・・・!(説明調終わり)

水洗トイレについて


ちなみに水洗トイレは水洗トイレで、実はたくさんの問題を内包していて、

・合併浄化槽でも公共下水でも、窒素とリンの30%前後は環境(河川)に流出してしまい、赤潮の発生原因となるし

・そもそも地球上の超希少な資源である淡水を、うんこを運ぶために使い、

・トイレットペーパー生産のために大量の木が伐採されていて、

・トイレットペーパーは、水や浄化槽の内部で溶けるわけではなく繊維化するだけなので、最終的には浄化槽内部のフィルターが詰まるので汲み取りが必要になり、

・汲み取った汚泥は、遠心分離機にかけて脱水し、重油をかけて燃やし、灰にして海の埋め立てに使ったり、

などなど、
自分の問題が見えない遠くに行くだけで解決せず、むしろより大きな問題を引き起こしている装置だと、わたくしテンダーは考えています。


テンダー私見をまとめると、

・水洗トイレは赤潮などの水系の汚染を引き起こし、さらにはトイレットペーパーとの相性も実は悪い(後述)。

・コンポストトイレは、ほとんどのものがコンポストとは名ばかりで、実際には発酵せず、溜まった糞便を穴に埋めて、土中微生物に分解してもらって処理、というのが現実には関の山ではあるまいか。もしくは高価なものは巨大なモーターとヒーターを内蔵し、うんこの問題を電気の問題に置き換えているだけにも見える。


どちらも通底するのは、うんこを「処理」しようとする姿勢ということ。
かたやコヤッシーはうんこを「活用」するための装置だということ。


この考え方に気づかせてくれたのは、次に紹介する橋本力男さんの本でした。

2. そもそも堆肥=コンポストとは? 橋本力男さんと発酵堆肥の世界


昨年、日本の発酵堆肥の大家、橋本力夫さんの元で学び、世界で活躍中の鴨志田純くんを講師に呼んで、堆肥づくりのWSをやったのだけど、


このWSを通して、私がわかったのは「自分はそもそも発酵も堆肥も理解していなかった」ということでした。


橋本さんのご著書「畑でおいしい水を作る」には、惜しみなくいろんな堆肥のレシピが載っている(必読!ただし現在amazonでは高騰中のもよう。hontネットストアでは定価で買えます)のだけど、

中でもコヤッシー完成に決定的な影響を与えた考え方のひとつが、

「発酵のためには窒素分だけではダメで、微生物資材や、その他いくつかの資材が必要」


というくだりでした。


微生物資材というと何か大層なものかと思いきや、広葉樹の葉っぱ5種類でいいそうです。ゆえに世のコンポストトイレは「ピートモス(植物が腐食化し、泥炭になったもの)」を買って入れたりするわけです。

ピートモス (wikipediaより)


ただ、橋本さんによれば、発酵して一時的にちょいとばかし熱が上がったところで良質な堆肥にはならないそうな。
なぜなら微生物活動によって60度を1ヶ月以上維持することでのみ、良質な堆肥ができるから。


60度を1ヶ月維持しないと雑草類の種子および病原菌・寄生虫が死なない。


じゃあ電気的に加温して60度にしたらどうなんだ、と言われれば、微生物活動が1ヶ月以上持続してできた微生物の死骸やら何やらの塊が堆肥になる(微生物が窒素やら何やらを分解する必要がある)ので、加温だけしても堆肥にはならないそうな。


そして、ここが肝心なところで、堆肥づくりの上手な人でも、夏場で最低100L 1000Lは材料を積まないと堆肥は作れない、とのこと。要は体積が小さいと熱源として小さいので、熱がすぐに散ってしまう。
(「最低100L」は床材という他の堆肥の話で、私が混同してました。鴨志田くんの指摘により2020.9/29 16:57修正)


というわけで堆肥作りの視点から導き出される結論その1。
どう頑張っても市販の廉価なコンポストトイレでは堆肥にはならない。
容積が足りない、微生物が足りない、水分調整できない、などなど、逆に言えば堆肥になる要素がない。

コヤッシーは、窒素回収 → 堆肥発酵の二段構え


容積の少なさで堆肥化が難しいのは、18Lペール缶を筐体とするコヤッシーとて同じこと。
そこで、コヤッシーは容器内での発酵を目指さず、むしろ「いかに容易に堆肥積みに合流させられるか?」を焦点としました。


そのためには手軽に、

・人間の糞便に含まれる大腸菌等を無害化し、
・かつ乾燥させて、軽量化&堆肥積み時の水分調整を容易にし、
・匂いを消す

必要があるのでは、と考え、コヤッシーは見事にこの問題点を解決しています(詳細は後述)。


また、世界中で使えるように、無電源(人力)で運用できるようにし、煩わしい交換部品もありません。


世界中で煮炊きに使われて排出される「灰」という普遍的な材料さえあれば安全に運用できるのがコヤッシーなのです。

コヤッシー運用後の堆肥化の手順


コヤッシーの便槽がいっぱいになったら、もみがらや米糠(こめぬか)、落ち葉や粘土と混ぜ合わせて水分調整をすることで、1ヶ月で堆肥化することができます。

ダイナミックラボの小さな簡易堆肥小屋と、鴨志田くん。
積んであるのは鶏糞堆肥


多少の面積と屋根のある空間が必要になりますが、その代わりに1か月間、60度の熱源が手に入るので、それを活用することも可能になります。


完熟堆肥化したあとはもちろん肥料として使うことができ、自分が排出した窒素等の栄養分によって、自分 / 他者のための食糧を生産することができます。

3. コヤッシーのラインナップは灰エンドモデルのみ


さあさあ皆さん。コヤッシーのモデル名が「灰エンドモデル」となっているのにお気づきですかな? 護美箱みたいでダサいでしょう


これは High end という意味ではなくて、灰を使ってコヤッシー内の処理を完了し、水環境の汚染止めるので灰エンドとしています。ハイ、ダジャレですね。とっても面白いですね。


どういうことかというと、灰は強アルカリ性なので、灰溶液に大腸菌を接触させるだけで、大腸菌を不活化できる、という研究があります。

参考PDF: 竹・バーク燃焼灰における殺菌・消臭効果

(バンブーマテリアル(株))○岡田久幸,宮崎龍一,(鳥取大学)伊藤啓史


この研究によれば、蒸留水に1%の灰を溶いた溶液に、カンピロバクター、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、大腸菌O157を接触させたところ、1分後には不活化(検出限界以下)を確認できた、とのこと。
さらには、この研究では灰の消臭効果についても触れられています。

ダイラボ独自の大腸菌培養実験で、灰の効用を検証

オープンソース・クリーンベンチの開発


そして、ダイナミックラボではこの「灰の効用」を検証するために、オープンソースのクリーンベンチ(無菌環境製造装置)を作るところから取り組みました!(いつも壮大だろう!)


というのも、大腸菌を調べるには無菌環境が必要 → 無菌環境を作るにはクリーンベンチという道具が必要 → クリーンベンチは安くても5万円前後する

という事実が発覚したから。(高いものは数十万…!)

簡易クリーンベンチの一例。
ものとしてはファン、フィルター、箱だけの簡単な構造

ダイナミックラボ製のオープンソース・クリーンベンチ 。
厳密な性能評価ができないが、理屈上は市販品と同じ性能(のはず)。


これはこれで、全世界に発表するほどの話題だと思うので、2020年10月中旬頃までには記事を公開します。クリーンベンチ自体はとても簡単な構造で、ガワとフィルターとファンだけなので、逆にこれまでオープンソース化されなかったのが不思議なくらい。


主任研究者はこの3ヶ月間、ダイナミックラボに滞在していたJICA隊員のJURI  KIKUCHIさんです。(私テンダーは定期的に横から口を挟むという重要な役割担当)


このクリーンベンチ実験により、コヤッシーを経た「うんこと灰の混合粉体」は、攪拌後2ヶ月以上を置けば、24時間後の大腸菌群数をほぼゼロと見なすことができるのでは、という暫定の結論を得ることができました。


詳しくは以下の記事にて!

(記事リンクは2020/10.14追記)

実際に堆肥に混ぜるときは、コヤッシー内部から混合粉体を取り出して、ヌカや籾殻などと混ぜて、また積む、そして翌日には60度になるという流れなので、混合粉体に人が触れる環境は30分以下となります。つまり、30分以内に増殖して問題が起きる大腸菌群数がいなければそもそも問題にならない、とみなす、ということです。
クリーンベンチ実験では堆肥積みに比べて、かなり長い時間の24時間後を確認タイミングとしています。これでコロニーが確認できなければ、30分の段階ではほぼ問題ないだろう、という判断です。

そもそも堆肥を積んで、60度で殺菌できるなら、灰の効用はいらないのでは?


ちなみに、コヤッシー内部での具体的な灰の運用としては、
・うんこを攪拌しつつ灰を混ぜることで
・強制乾燥&大腸菌群数の極小化
・消臭効果
を狙っています。


どっちにしろ発酵させるなら、その熱で菌が死ぬのだから灰を混ぜなくてもいいじゃないか、という声もあるかと思いますが、


堆肥を発酵させるためには堆肥材料を混ぜ合わせて、手でよく練って水分含有量を確認する必要があるのです。

鶏糞堆肥を作っている様子。


その時に臭かったり、ネチョネチョしてたり、大腸菌がいるとわかっていたら、よっぽどの猛者でない限り、ひるんでしまうこと請け合い。(というか衛生上、人体に害悪がある)
そもそも水分含有量の多い材料を混ぜ込んで良い堆肥を作るのはとても難しい作業です。


そうなると窒素回収のハードルがぐんと上がってしまうので、コヤッシーの目的と合致しません。


人類がヒトから窒素を回収するには、糞便を扱うことが安全かつ安心で、不快でなく、作業として簡単になっていることが必要だと考えたのでした。


また、鴨志田くんいわく


「普通のうんこは放置すると発酵しづらくなるが、灰を混ぜると保存が効くようになる」


とのこと。
保存の効くうんこ、というパワーワードが出ましたね)


というわけで、灰を使うことにより人糞を無害化し、堆肥材料に変え、さらには水環境の破壊に終止符を打つのが灰エンドモデルなのです。

実際にコヤッシーの混合粉体を使って堆肥を作る


2020.9/30 12:15追記:

ぬか、もみがら、落ち葉、古い粘土、コヤッシーの混合粉体、そして水を混ぜ合わせる


混合粉体が不快でないことを確認するために、堆肥化してみました。
上記お写真は、まさに混合粉体を堆肥材料に投入している図。


あえてウジが湧いている粉体を投入したのですが、


その後の、手でおこなう水分含有量の調節では人糞であることを忘れるくらい、匂いがありませんでした。(ウジがいることは全く気がつかなかった)


そして24時間後、、、

堆肥中心のちょっと上あたりで52.6度


もう少し温度が上がってほしいところですが、初めての実験としてはまずまず、かしら。もう少し堆肥レシピを研究する必要がありそうです。(追記終わり)

ちなみに、灰は由来により重金属が含まれることもあるので、灰であればなんでもいいわけではなさそう。こちらも追って調査予定。

4. コンポストトイレとコヤッシーは攪拌が命

従来のコンポストトイレと攪拌のジレンマ

wikipedeiaより


かたや従来のコンポストトイレでは、便槽がずいぶん広くなっていて、その内部に攪拌棒や回転するドラムがあり、どんどん溜まり重くなるうんこをおがくずやピートモス等と混ぜ合わせながら攪拌します。


ちなみにわがやは、コヤッシーができるまで自作の100Lコンポストトイレを使っていて、攪拌棒は13mm径の鉄の棒を溶接して作って運用していたのですが、50L以上のうんことおがくずを人力で混ぜるのはかなりの無理がありました。

2016年の、製作当時のメモ。今見ると恥ずかしい。


13mm径の鉄の攪拌棒がひしゃげて使用不可能になったことは一度ならず。
ネチョネチョした重いものを回すのは大変なのです。


おそらくこういう事情もあり、日本の廉価コンポストの内容積は小さくなっていったのだと思いますが、何度も言うように内容積が小さければ発酵しないわけです。
(60度まで到達しないということは、何らかの殺虫・殺菌手立てをしなければ、便槽内の大腸菌や寄生虫が死なないということ!)


かといって大きくすれば攪拌できないので、大きなモーターとゴツい攪拌棒を内蔵して電気で回すという、うんこのためにもはや何がしたいのかわからない状況になるのでした。

コヤッシーの攪拌は一期一会方式


そこで、コヤッシーは工夫をし、便槽に攪拌棒を持ちません。

最下部のペール缶が便槽。もらってきたペール缶を洗うだけ。


便槽とは別に、3Dプリント製の攪拌槽を設け、人体から放出されたうんこは攪拌槽に入ります。


ここで常に一回分の弁を灰と混ぜ合わせるので、攪拌の力は子供でも扱えるほど少なくて済み、さらには攪拌棒も小型軽量で済むわけです。

まさに灰とうんこの一期一会、喜びの灰タッチです。


冒頭の動画のように、十分に攪拌されてうんこがパウダー状になったら、リリースレバーを引くとうんこパウダーが便槽に落ち、溜まっていきます。


この時点で(攪拌の丁寧さにもよりますが)灰とうんこがきちんと混ざり合ったところはおよその乾燥&殺菌が完了し、混ざり合っていないところも便槽内で大量の灰の上に堆積していくので、灰がうんこに対しての吸湿剤として働き、程なく乾いていきます。


こちらは、秋冬時期に便槽内に堆積した灰(うんこパウダー)を2ヶ月寝かしたもの。
ひっくり返した断面が見えていて、上の茶色が強いところが一番古い層です。


匂いは全くなく、手で触ってもさらさらしています。


以上の通り、コヤッシーでは攪拌の力的負担を極限まで減らし、かつ軽量で、従来のコンポストより衛生的で、電源もいらず安価、そしてちゃんと使える発酵堆肥材料を供給できるのです。


素晴らしい!

5. コヤッシーの構造の説明

ペール缶の蓄積部とトイレ機能部


コヤッシーは、18Lペール缶を利用してできています。


これはガソリンスタンドなどで使われているオイル缶と同等で、ガソリンスタンドなどではタダで貰えることも多い代物です。


これを2つ重ねるのですが、1つは最下部の蓄積用(画像では白)、もう1つは底を抜いたトイレ機能用(画像では赤。攪拌ユニットとの接合用)となっています。

断面図。トイレ機能用の赤いペール缶は底が抜いてある。

また、トイレ機能用のペール缶は、尿排出ホースや攪拌棒の穴などを支える構造材として使われている。


尿排出ホースは、そのまま尿貯蔵タンクにつながります。タンクは、ペットボトルでも灯油タンクでも、あるもので良いと思います。
大きいと重いけど、小さいとすぐいっぱいになるので、各々の良いバランスを見つけてください。


うんこに関しては蓄積槽がいっぱいになったら、トイレ機能用ペール缶から上を引き抜いて、他のペール缶に差し込み直すことで、手間なく乗り換えができるようになっています。

3Dプリント製の攪拌&屎尿分離ユニット

屎尿分離ユニットと攪拌ユニットの断面図


攪拌ユニットの下部はハーフドラム式になっており、攪拌終了後、排出レバーを引くとうんこパウダーを蓄積槽に貯めることができます。(冒頭の動画を参照してください)


その他、便座、蓋などが付属します。

6. コヤッシーの改良検討点など


・ペール缶がそのままサイズの上限になるので、体格によっては使用できない可能性が高い(現実的には体重制限があると思われる)。

・ペール缶を二つ重ねるために座高が高くなって、身長によっては踏み台を必要とするか、蓄積槽を寸切して低くする必要がある。

・女性の尿道口の形状・位置によってはうまく用を足せないことがあるもよう(私は男性の尿道口しか持っていないので検証できないために、まだわからない。鋭意ヒアリング中)

・生理等への対応に未着手

・灰を産出しないライフスタイルの場合、うまく運用できないかもしれない(おがくずなどでも代用はできるが、堆肥材料として適切とは言えない)

・今後はなるべく、廃プラから屎尿分離ユニットを作りたい。


そして、コヤッシー発表のこの記事を書きながらも、大幅改良を加えたV2もほぼ完成しています。


尿受けがぐっと大きくなり、女性の尿道口での用足しも安心できるようになりました。また、攪拌層の体積も20%増しになり、大きなうんこにも対応できるようになりました。



というわけで、ここまでで市販のコンポストトイレとコヤッシーの違いを軸に説明しました。


ただ、それだけだとちょっと改良された商品止まりの話に見えなくもないですが、コヤッシーにはもっともっと大きな思想が内包されています。

7. というわけで以下、コヤッシーの世界観を補足するおまけ!

おまけ1:野糞を超えていけ

写真左の白髪にメガネの方が伊沢さん。宮崎の糞土師講演にて


私がコンポストトイレを研究し始めたきっかけのひとつが、野糞研究の糞土師・伊沢正名さんとの出会いです。


伊沢さんは、野糞は人間が自然に「お返し(涵養)」できる唯一の方法、ということをおっしゃっていて、実際に50年間野糞をし続けているというありように私はとても影響を受けて、私もしばらくは野糞をして暮らしていました。


言ってみれば、コンポストトイレというのは野糞の劣化版です。


野糞をすれば済む話を「外に出るのが嫌」「人の目が気になる」「蚊に刺されたくない」「雨の日困る」「子供がいるから」などなどの切実な理由により、家の中でできる野糞としてコンポストトイレがあると私は考えています。


しかし、コンポストトイレは野糞ほど生態系を涵養せず、下手をしたら電気も地下資源(金属含む)もプラスチックも使い、管理の手間も増えるし、実際は野糞よりもコストは高いのです。


そういうわけで、野糞を至高とする伊沢さんの思いもわからないでもないのですが、トイレやコヤッシーのことを研究するにつれ、野糞にも地域性がある、ということもだんだんわかってきました。

インドの野糞事情


ただいまダイナミックラボに滞在するインド赴任のJICA隊員、アミターブ(現地名)。彼にKoyassyの話をすると「ぜひインドモデルを作りたい」と熱くなっている様子。


わけを聞くと、なんでもインドでは文化的に家の中にトイレが作られず、みな外に野糞をしに行くそうな。


しかし、この野糞の時に若い女性がレイプ被害に遭う事件が、毎年数件は報道されるらしく(報道されないものがもっとあるかもしれない)、家のすぐそばに簡易でいいので、臭くなく、また窒素による不毛の地を作らないトイレ的なものが必要なのだそうだ。


そこで彼は、インド現地で手に入る材料と、衣服のサリーや、フィンガーウォッシュ(インドでは紙を使わず、指と水で洗う。ちなみに私ももう10年フィンガーウォッシュ。)などで運用できるよう、コヤッシー亜種を鋭意製作中です。


コヤッシー、世界へ羽ばたけ!

おまけ2:水洗トイレの問題


水洗トイレの諸問題はすでに語りましたが、実はもう一つ、水洗トイレと関わりのある大きな問題があります。


それはトイレットペーパー。


ご存知ない方が多いのですが、トイレットペーパーは濡れると繊維に戻るだけで、水に溶けるわけではありません。


ゆえに、水洗トイレにトイレットペーパーを流していれば、いつか必ず浄化槽は詰まります。

ダイナミックラボのトイレの流れが悪くなったので、浄化槽を自分で開けてみたら・・・

ダイナミックラボの浄化槽。マンホールを開けてみたら・・・


この右マンホールの中にこんもりしているものは、全てトイレットペーパーがふやけてほどけたものと、うんこの分解カスやらとの混合物です。100Lくらいあり、これがフィルターを詰まらせていて、水の流れを阻害しておりました。


なので、これが起きないように浄化槽はバキュームして、トイレットペーパーを吸い出すわけです。
(ダイナミックラボでは、この混合物は穴を掘って埋めて自力除去しました。すぐさま水の流れも復旧!)


都市部の公共下水で暮らしていても事情は全く同じで、誰かがどこかでトイレットペーパーの詰まりを吸い出しているものと思われます。


そして上述したように、混合物や汚泥とされるものは、工業的には遠心分離機にかけて脱水し、重油をかけて燃やして灰にし、その灰は埋め立てに使われるそうな・・・。


水洗トイレはどの部分を取り上げても、その性質として問題を拡散する、と私は思います。


さらには日本のトイレットペーパーを作るために、世界の貴重な原生林が切り開かれたりもしています。


ちなみに私は、インド式のフィンガーウォッシュ(指と水で洗う)を10年続けています。フィンガーウォッシュをお勧めする一番説得力があるセリフは

「もし顔にうんこがついたら紙で拭いて済ませるのか? 紙で拭かずに水で洗うだろ! それが答えだ!」

おまけ3:ウジにどう向き合うか


コヤッシーに欠かせない灰はとっても多機能で、大腸菌類にはめっぽう効きますが、ウジの除去効果はありません。


ちなみにウジ自体は特に不衛生ではなく、湧いたとしてもウジは分泌液で大腸菌を死滅させるので、むしろ人間の安全のためには寄与する、とすら言えます。


成長したウジは鶏や他の動物の餌になるので、そこで循環を作ることも可能だと思います。


ただし、ウジは分泌液を出すので、灰の乾燥を妨げます。またウジの分泌液はアンモニアを含むので、不快な匂いが発生します。こうなると、せっかく屎尿分離している意味がなくなってしまう!


そこで私としては、ハエがコヤッシー内に卵を生んでウジを発生させない運用をお勧めします。


具体的には、こまめに便座の蓋をする+簡単にハエが入ってこれない壁等のある場所で運用する、が効果的です。


いつか、ウジ+鶏を元にしたトイレを作ってみたいとも思いますが、コヤッシーではウジなし運用が良いと思われます。

8. コヤッシーのこれから

改良中のコヤッシーV2


もう少し機構を改良したら、ダイラボ通販にて販売&3Dデータのフリーダウンロードを考えています。


ただし、今のところ1ユニットをプリントするためにのべ3日はかかるので、量産はできないと思われるのと、全ての人にお勧めする商品では全くないので、以下の人にお勧めです。


・コンポストトイレでうんこ貯めたあとどうするの? って気づいちゃってる人
・利用できる広い土地があり「都会だとコヤッシーじゃ無理」と言い出さない人
・自分でコヤッシーの修理や改良をするつもりのある人
・水洗トイレは、環境に対しては百害あって一理なしだと思う人


販売価格は2万円前後くらいにまとめたい。できればもっと安くしたいが、それは作る手間に応じて変わります。

2020.9/30 16:42追記
また、コヤッシーは私の構想する「薪と太陽熱を暮らしの中心に据えた体系」のための装置であり、薪の利用を推奨するものであります。
人々が手入れのされていない森の薪を拾い、燃やして煮炊きをし、消し炭を作り、毎年表土から30cm分の0.4%ずつの炭を畑に撒くことで、肥沃な黒土を作るとともに、大地にCO2を固定し、温暖化を止めることにつながります。
また、消し炭にしなかった部分は灰となり、酸性に傾いた土壌を中和させる土壌改良剤として、あるいはコヤッシーの混合粉体用に活用し、その後は堆肥となり食糧生産につながります。(追記終わり)


こんなところかな。
いやー、今回もすげーの作っちゃったな!


バイバイ!

メルマガ登録

不定期でダイナミックラボからのお知らせが届く、永久無料のメルマガ登録はこちら!

スパムはしません!詳細については、プライバシーポリシーをご覧ください
※ 登録ボタンを押した後は、迷惑メールフォルダもご確認ください

コメント

  1. 四井真治 より:

    テンダーくんひさしぶり!
    おもしろいもの作ったねえ。3点機になることがあります。
    一つは雑草の種は60℃で1年もかけなくても2日で発芽率0%になることは酪農などの堆肥つくりの現場ではデータが取られているよ。
    二つ目は、微生物資材など発酵に必要な微生物はコンポストトイレという環境に合わせて糞便や空気中、落ち葉などの副資材にいる微生物の中から適したものが自然繁殖して分解してくれるようになるのでトイレ中でできた堆肥の一部を種菌として戻し堆肥にしてあげればいいと思うよ。
    三つ目は、コンポストトイレはコンポストトイレ内で発酵が完結するものをコンポストトイレと言ったほうがいいんじゃない?(これ個人的な考えです)
    そしてもう一つ、大腸菌は全てが毒性があるものではなく堆肥の発酵に合わせて減っていくのでそんなに拘らなくてもいいと思うよ。
    こんどうちの生ゴミ処理機を改造したコンポストトイレ(大をする時の小は分離していない)はかれこれ10年以上使っているけど匂いもなく内部でしっかり綺麗な堆肥になっているので見にきた人がいつも驚くぐらいだから見にきてよ。僕にも相談してくれれば良かったのに!(笑)

    1. テンダー より:

      おー、四井さん、お久しぶりです。お返事ありがとうございます。

      コメントを見て、四井さん急いでこの記事を読んだのかな、と思ったのですけど、
      私は「60度を1ヶ月維持することで上質な堆肥を得る」ことを目的としていて、ただ単に種子の発芽率や、大腸菌の滅菌だけのために温度を上げるわけではない、というのが勘所だと思っています。(と言いつつも、指摘の1、2については知りませんでした。あざっす!)

      まあ私が、堆肥の上質さをつぶさに判別できるわけでもなくて(経験が少ないので)、橋本力男さんの受け売りではありますが、日本最高峰の堆肥技術者の教えに則るところから始めようと思ってます。

      3つ目のコンポストトイレについては、ゆえにコヤッシーはコンポストトイレではありません(そういう内容の記事です)。

      ともかく折を見て一度お宅に伺いますね。
      いつも気にかけていただいてありがとうございます!

      1. テンダー より:

        あと、四井さんのコンポストで綺麗な堆肥ができるのは、四井さんが堆肥や発酵や水分量を理解しているからなのでは、と思いました。
        そういった素養のない人が少ない容積で、尿も混ぜて発酵させるのは、かなり難しいのでは・・・?とも思いました。

  2. 今泉裕士 より:

    ナカナカの優れものを開発されましたね!
    私も改修中の京都山科の荒屋にて、都市空間でのトイレの無害化について実験をチマチマしておりました。
    猫用の消臭オガペレットとポータブルトイレで、蓄糞から有用物への転嫁は高コスト化するしかなく、燃えるゴミとして回収させる方法で処理していました。
    二年前からロケットストーブを設置して改修廃材を燃料として床暖房をしているので、灰は有るし、糞便にまぶして次の展開へのストックとするところまでは辿り着いてやっておりました。
    新型肺炎の無策のせいで、東京に縛り付けられ、老母の世話などあって、出雲に移転を目論むなどジタバタ続きですが、続きがテンダーさんの所で実証されている記事を拝見して嬉しい限りです。
    だいたい鳥でもないのに、分離して出てくるものをわざわざ一緒くたにして、貴重な殺菌済みの真水で流すなど狂気の沙汰が当たり前の拝金事大主義に、少しでも気づいて舵取りを促す心掛けはもっと広まって欲しいものです。
    分けてもらって売ったり配ったりした我が家電力も残り僅少になりました。
    ヨホ研更新が少ない分ラボが軌道に乗って忙しいのですね。
    何よりです、お元気で。

    1. テンダー より:

      今泉さん、お褒めのお言葉、ありがとうございます。
      特に、オープンソース的に「世界の誰かが引き継いでくれれば嬉しい」というくだりが、私としても嬉しい限りです。

      話は変わるのですが、オープンソースに取り組んでるのに、そのことを隠して自分の成果のように言う人が日本には多いように私には感じられていて、ちょっと不服に思っているところでした。

      コヤッシーはもうちょい改良して、普遍的な世界モデルになるよう頑張ります。

      出雲への移転が早くできるといいですね。ではでは!

テンダー へ返信する コメントをキャンセル

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください